書評『超マクロ展望 世界経済の真実』
2012/06/25
国際経済に関する弁明の中で通常あたりまえのようにそこにすでにあるものとして語られる現象 -資本主義、先進国の金融経済化、資源価格の高騰…- これらのものは当然ながらそれが生じるための力学をもっている。
その見過ごされがちなメカニズムについて、本書では対談という形式をとりながらも体系立てられた入門書として機能し得るほど精緻な歴史的洞察に基づいた議論が展開される。
そもそも資本主義とは何か。金融経済とは何か。バブルとは…
こうした問いに過不足ない論理による解説を試みるとともに、14年という資本主義の歴史上最長の低金利時代を経験した日本の先行性を好機と捉え、来るべき中国元自由化により国債発行での国費調達が限界となる前に低成長を前提とした新しい社会システムを構築せよと説く。
現実世界と離反し機能不全となった過去のモデルベースのマクロ経済学を脱する、現象を現象のままに留められない人へのこれからのマクロ経済学入門書である。