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20年後の世界と取り残される人々 激動の時代の始まり、塗り替えられる勢力図

カイロは西のピラミッドを望むギザ地区から、2011年にナダルの事実上独裁政権を降ろしたエジプト革命の中心地スクエアを通り、西の新都市ニューカイロまで100kmほど車で横断すると、5000年の人類の歴史をパノラマで見ているようで感慨深い。

東に進むほど道路脇の看板は英語で書かれ、まるで南国リゾート地のようなパースが並び、背後の砂漠がリゾート地に変わることを夢見させる。

2013年のクーデター以降、シシ政権下で生まれた都市だ。ここにユダヤが流入し、10年後にはドバイに並ぶ中東の中心都市となるだろう。

彼らの顧客は世界に開かれている。

この観光客のほとんど訪れることのないEl Shoroukエリアに住むのは多くが多国籍企業に勤める人々だ。

彼らは思考様式も顔つきも所作も、西側の人々とはまるで異なる。

こうした人々と話をしていると、その土地に依拠した仕事をする人々、世界企業コミュニティ、グローバルクリエイティブな個人(超ノマド)、の3つの階層に人々は分断されつつあるのが明白になる。国際社会では英語で母国語同等の速度で自分のアイデアを話せなければ重要な人物とはみなされない。

世界が急速に変化している中で、今や先進国の中で取り残されつつあるのがヨーロッパと日本だ。

今、ほとんど戦争と言えるほどの激動さをもって世界の情勢が様変わりを始めている。

名目GDPはIMF World Economic Outlook Database(2017)によれば、

  • 1位 米国19兆ドル 
  • 2位 中国12兆ドル
  • 3位 日本5兆ドル

であり、中国が米国に追従しているかのように見える。

しかし、物価の差を考慮した購買力平価(PPP)ベースでは2014年には中国は米国を抜きトップになっている。最新のランクは、

  • 1位 中国23兆ドル
  • 2位 米国19兆ドル
  • 3位 インド9兆ドル
  • 4位 日本5兆ドル

成長率では米国2%に対し中国7%であるから、名目GDPでも数年以内に米国を抜く可能性が高い。

GDPは単に経済的な競争力を示すものではない。GDPが重要なのは、その余剰が軍備に回され軍事力に転換される点にある。

中国はすでに戦闘艦艇の数で米国の約2倍を保有している。対艦攻撃力ではアメリカ軍を超えたと言われ、PPPベースのGDPで米国を抜いた2014年には南シナ海に7つの人工島の建設を開始、2018年までの4年間で米軍の接近を阻止する地対艦ミサイルを配備、南シナの制圧をほぼ完了させている。

2018年、韓国文政権は米国の意向を無視し北朝鮮と連帯を強める政策に出た。朝鮮半島は特にロシアの南下を脅威としていた帝国主義の時代までは米国にとって地政学的に重要だったが今はそうではない。ロシアの影響力が低下した今ではその地理的優位性は下がり、米韓同盟がアメリカの国益において重要でなくなった。

トランプ政権はこのため朝鮮半島からの撤退を示唆しており、在韓米軍は2019年に撤退する可能性がある。

同時に経済力軍事力ともに米国と互角となった中国、および中国が援助する核兵器というカードを持った北朝鮮の2国間との連帯を強める方が韓国文政権にとって得策と見ているのだろう。韓国はより中国に歩み寄る。

3国内で中国が交渉力をもっているから、中国の地理的弱点である半島の南西側の平地に壁を作る目的で38度線を維持する力学が働き南北朝鮮統一は行われない。

中国は北朝鮮と韓国への支援を続け、この3国は独立を維持したまま連帯する。

在韓米軍撤退のシナリオでは中国への牽制力が弱まり中国側に好機をもたらす。

技術力では中国はソフトウェア、韓国はハードウェアと通信で世界トップであり、核ミサイル技術をもつ北朝鮮を傘下におくことで合法的に核武装も完了している。

データ主導のソフトウェア時代では民主主義国家よりも独裁に近い国家が有利である。

日本がもつ唯一のカードは米国に地理的に極東の軍事拠点を提供することであった。

一方で2018年10月には7年ぶりに日本政府の中国への公式訪問が行われ日中協調路線を復活させたように見えるが、中国政府にとってこれが建前に過ぎないのは国家主導による経団連へのサイバー攻撃からも明らかだ。

日米保安条約の限りでは日本の領土への米軍基地提供に選択権はないが、台湾と同様軍事的に対中姿勢を取るか、米中のパワーバランスに従って軸足を調整する戦略をとる以外にない。

いずれにしてもこれまで同様プラグマティズムに終始する。

朝鮮半島からの米軍の撤退如何が鍵になるだろう。

世界は急速に変化している。

個人ができることは、いつ没落するとも知れない国家やローカル文化に依存しない普遍的な力を手に入れ、世界とつながることだ。

より具体的には、言語、テクノロジー、グローバル感覚、の3つの力が必要だ。

日本語圏でのコミュニケーションの殆どがローカルでしか通用しないコンテキストで構成されてしまっているから、まずはここから脱却するところからはじまる。

そして数万大規模のコンピュータクラスタによって世界の情報を処理できるシステムを自国の内部に持たない国家は情報テクノロジーで優位に立つことはなく、新たな帝国主義の時代が来るにつれ属国となるより道はない。

劇的な変化は10年以内に少なくない確率で訪れる。20年後にはまるで違う風景が待っているだろう。

天国に競争はあるか

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東京にまた帰ってきた。ここ数年毎年シリコンバレーに通っていて、最初あの地域に行ったときのあの宗教的熱気のようなものは次第に薄れているような気がする。一言で言えばノイズが増えてきた、ということかもしれない。最近東京に来たカナダの友人も似たようなことを言っていた。

始めてベイエリアに行った頃からの数年来の悪友でありコリアンのエドワードと最近LAに行った時、彼が話していた共産主義への考察が核心を突いていて面白かったので取り上げてみる。

現存する共産主義経済体制をとっている国に北朝鮮がある。(政治的には社会主義国)この国が金日成時代の封建社会から脱する際に、黄長燁という理論家が制度設計のための中心的思想を形成した。黄は当時一党独裁国家であったソ連のモスクワ大学で哲学博士を取得した程の生粋のマルクス派であり、当然ながら北朝鮮の根幹思想チェチェ思想にマルクス主義は存分に反映される。しかし1997年黄は「共産主義に未来はない」と言って韓国に亡命を図る。彼はその後アメリカを中心に反金正日政権運動を展開し、2010年の時点で謎の死を遂げる。なぜ一国の制度設計を行うほどの頭脳が共産主義を理想社会とみなし、そして後にそれを失敗とみなしたのか。

他国から見れば北朝鮮に暮らす人々はなんという不幸な生活を送っているのかと思うだろう。情報は遮断され、一切の贅沢品は禁じられ、髪型まで統制され、毎日決められた仕事をこなすだけだ。しかし、もし彼らがそうした計画された人生以外の可能性を知らないとしたら。組織での出世も若くして成功する者も、社会でのいかなる勝者も敗者も階級も、高級車もエルメスのバッグも、一流のフランス料理も存在しない。そもそもそうした概念が存在しない。概念がなければ自分たちはそれを欠いているという意識すらもつことができない。欠いている意識がなければ不幸にはなりえない。その味を知らなければその味を欲することもないのだから。仕事は平等に与えられ、失業する心配もない。必要十分な暮らしを送り、日々の些細な機微にだけ気を揉む。

曰く、共産主義の世界というのはおそらく各自の役割と生活が全て用意された韓国での兵役に似ていて、要するにそこは、競争、目標、自己実現といった概念の存在しない世界であり、ゆえに劣等感、被期待感、明日への不安、プレッシャーといった資本主義社会では必須の感情から自由になった世界である、だから時々その心地よさが懐かしいのだという。

そうした実現することへの欲求に伴う一切の苦痛から自由になった世界で、日々の役割をこなし、周囲の人々と談笑し、食べ、寝る。そうしているだけで生きていく上での不安は何もなく、明日がまた訪れる。これはまるで典型的な天国のイメージのようだ。

それでもこの混沌としていてひどく疲れる今の世の中の方がずっといい。だから、このあらゆる矛盾と苦悩に満ちた世界は、実はどこかに天国があるとすれば今、まさにこの世界なのだろうか。